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LTV改善を実現するCRM施策とは?効果的な手法や計算方法をしっかり解説!
LTVやCRMの基本から、売上を伸ばすための具体的な施策まで初心者にも分かりやすく解説します。LTVの計算方法、顧客単価やリピート率を上げる方法、効果的なCRM設計など、EC事業の成長に欠かせない知識が身につきます。
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EC事業の成長には、新規顧客の獲得だけでなく既存顧客との関係構築が欠かせません。
本記事では、顧客生涯価値(LTV)を向上させるためのCRM施策について、基礎知識から具体的な実践方法まで詳しく解説します。
計算方法や効果測定のポイントも紹介していますので、自社のEC運営に役立ててください。
LTVとCRMの基礎知識

LTVとCRMは密接に関連する概念ですが、それぞれの意味を正確に理解している方は意外と少ないものです。まずはこれらの基本的な定義と、両者の関係性について確認していきましょう。
LTVとは?基本的な計算方法も解説
LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)とは、一人の顧客が取引を始めてから終了するまでの期間に、企業にもたらす利益の総額を指します。この指標を把握することで、顧客獲得にかけられるコストの上限や、既存顧客への投資効果を判断できるようになります。
LTVの基本的な計算方法は以下の通りです。
計算式 | 内容 |
---|---|
平均購入単価 × 購入頻度 × 継続期間 | 最も基本的な計算方法 |
(平均購入単価 × 粗利率 × 購入頻度 × 継続期間) – 顧客獲得コスト | 利益ベースでの計算方法 |
例えば、平均購入単価が5,000円、年間購入回数が4回、顧客の平均継続年数が3年の場合で計算すると以下のようになります。
LTV = 5,000円 × 4回 × 3年 = 60,000円 |
CRMとは何か?VRMとの違い
CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)は、顧客との長期的な関係を構築し、顧客満足度やロイヤルティを高めるための経営手法です。顧客データを活用して、一人ひとりに適したコミュニケーションを行うことが目的となります。
一方、VRM(Vendor Relationship Management:ベンダー関係管理)は、CRMとは逆の視点から見た概念です。
項目 | CRM | VRM |
---|---|---|
主体 | 企業側 | 顧客側 |
目的 | 顧客との関係を企業が管理 | 顧客が自分の情報を管理 |
データ管理 | 企業が顧客データを保有 | 顧客が自分のデータを管理 |
CRMは企業が主導して顧客との関係を築くのに対し、VRMは顧客が主体となって企業との関係をコントロールする考え方といえます。
身近にあるVRMの具体例について
Appleの「ヘルスケア」アプリや家計簿アプリ(Moneytreeなど)のように、散在する自分のデータを一元管理し、自分で許可したサービスとだけ連携させる仕組みもVRMの1つといえるでしょう。
CRMとLTVの関係性は?

CRMとLTVは密接に関連しています。CRM施策を適切に実施することで、以下の3つの要素が改善され、結果としてLTV向上が期待できるでしょう。
- 購入頻度の増加
定期的なコミュニケーションにより再購入を促進 - 客単価の向上
顧客の嗜好に合わせた提案で購入額が増加 - 継続期間の延長
満足度向上により顧客との関係が長期化
つまり、CRMは「LTVを最大化するための手段」であり、LTVは「CRM施策の成果を測る指標」という関係にあります。
なぜLTV改善が重要なのか

EC事業を取り巻く環境は年々厳しさを増しており、新規顧客の獲得だけでは持続的な成長が難しくなっています。ここでは、LTV改善が注目される背景とその重要性について解説します。
顧客獲得コストの上昇という背景
近年、デジタル広告の競争激化により、新規顧客の獲得コストは上昇し続けています。広告プラットフォームの入札競争が激しくなり、以前と同じ予算では同じ数の顧客を獲得できなくなっているのが現状です。
このような環境下では、新規顧客獲得だけに注力するビジネスモデルは持続可能性に欠けます。既存顧客からの収益を最大化することで、広告費の高騰に左右されにくい収益構造を構築できます。
LTV向上がもたらすビジネス効果
LTVを向上させることで、以下のような好循環が生まれます。
- マーケティング投資の拡大
顧客一人あたりの利益が増えることで、新規獲得に使える予算が増加 - 競合優位性の確保
より高い広告単価を許容でき、競合より多くの顧客にリーチ可能 - 収益の安定化
リピート顧客による安定収入で事業計画が立てやすくなる - 口コミ効果
満足度の高い顧客が新規顧客を紹介してくれる
EC事業におけるLTVの重要性
EC事業では実店舗と異なり、地理的制約がない分、顧客との接点を意識的に作る必要があります。購入後のフォローや定期的な情報提供を怠ると、顧客は簡単に競合他社に流れてしまいます。
そのため、EC事業においてLTV向上は単なる売上増加策ではなく、事業の存続に関わる重要な戦略となります。
LTVを高めるための基本戦略

LTVは「購入頻度」「客単価」「継続期間」の3要素で構成されています。これらを個別に改善することで、総合的なLTV向上を実現できます。それぞれの要素について、具体的な施策を見ていきましょう。
購入頻度を上げる施策
購入頻度を高めるには、顧客との接触機会を増やし、購入のきっかけを提供することが効果的です。具体的な施策としては以下のようなものがあります。
- メールマガジンでの新商品情報や活用方法の配信
- LINEを活用した限定クーポンの配布
- 購入サイクルに合わせたリマインド通知
- 季節やイベントに応じたキャンペーン実施
重要なのは、単なる販促情報ではなく、顧客にとって価値ある情報を届けることです。
客単価を向上させる方法
客単価を上げるには、顧客のニーズを深く理解し、適切な商品提案を行う必要があります。以下の主な施策をまとめました。
施策 | 内容 |
---|---|
クロスセル | 関連商品の同時購入を促す |
アップセル | より高価格帯の商品を提案 |
セット販売 | 複数商品をまとめて割引価格で提供 |
送料無料ライン | 一定金額以上で送料無料に設定 |
過度な販促は逆効果になるため、顧客の購入履歴や閲覧履歴をもとに、自然な形で提案することが大切です。
顧客維持期間を延ばすアプローチ
長期的な関係を築くには、継続的な価値提供と信頼関係の構築が不可欠です。具体的な施策例は以下の通りとなります。
- 商品の使い方や活用事例を定期的に配信
- 購入後のアフターフォローを充実
- 会員限定の特典やコンテンツを提供
- 顧客の声を商品改善に反映
特に初回購入後のフォローは重要で、2回目の購入につながるかどうかが、その後の継続率を大きく左右します。
LTV改善に効果的なCRM施策
CRM施策には多様な手法がありますが、自社の商材や顧客特性に合った施策を選択することが成功の鍵です。ここでは代表的なCRM施策とその効果について、具体的に解説していきます。
CRM施策の代表例とその効果
CRM施策には様々な手法がありますが、代表的なものは以下の通りです。
メールマーケティング | セグメント別に最適化された情報配信 |
ポイントプログラム | 購入ごとにポイントを付与し再購入を促進 |
会員ランク制度 | 購入実績に応じた特典で優良顧客を優遇 |
パーソナライズド提案 | 購入履歴から個別におすすめ商品を提示 |
定期購入モデル | 自動配送により継続購入を仕組み化 |
なお、これらの施策は単独ではなく、組み合わせることでより大きな効果を発揮します。
セグメント別のアプローチ手法
すべての顧客に同じアプローチをするのではなく、購入履歴や行動パターンでセグメント分けし、それぞれに適した施策を実施することが重要です。
セグメント | 特徴 | 適した施策 |
---|---|---|
新規顧客 | 初回購入直後 | ウェルカムメール 使い方ガイド |
アクティブ顧客 | 定期的に購入 | 新商品の優先案内 限定特典 |
優良顧客 | 高頻度・高単価 | VIP特典 先行販売 |
休眠顧客 | 一定期間購入なし | 特別クーポン 新商品紹介 |
メールマーケティングの活用
メールマーケティングは、コストを抑えながら効果的に顧客とコミュニケーションできる手法です。開封率を高めるには、件名の工夫や配信タイミングの最適化が必要となります。
効果的なメール配信のポイントは、顧客の行動に基づいたトリガーメールの活用です。具体的なトリガーメールの例としては、「カート放棄後のフォローメール」「商品到着後のレビュー依頼」などが該当します。
LINE公式アカウントでの顧客接点
LINEは開封率が高く、リアルタイムでのコミュニケーションに優れています。プッシュ通知による即時性を活かし、タイムセールや在庫復活の告知などに効果を発揮します。
ただし、頻繁な配信は嫌悪感を持たれる可能性があるため、配信頻度と内容のバランスに注意が必要です。
ポイントプログラムの設計
ポイント制度は再購入のインセンティブとして機能しますが、設計次第で効果は大きく変わります。設計時は、次の表の項目に注意しながら考案すると良いでしょう。
ポイントプログラムの設計項目 | 考慮すべき点 |
還元率 | 利益率とのバランスを考慮 |
有効期限 | 適度な期限設定で使用を促進 |
特典交換 | 魅力的な特典ラインナップ |
ポイント倍増キャンペーン | 購入意欲の喚起 |
ポイントを貯める楽しみと使う楽しみの両方を提供することが、継続的な利用につながります。
定期購入モデルの構築
消耗品や日用品を扱うECでは、定期購入モデルが特に有効です。顧客にとっては買い忘れがなくなり、事業者にとっては安定収益が見込めるというメリットがあります。
定期購入を成功させるポイントは、配送サイクルの柔軟性や、スキップ・解約の手軽さです。縛りが強すぎると顧客満足度が下がるため、顧客が自由にコントロールできる仕組みが理想的といえます。
顧客ステージ別のCRM施策
顧客は購入経験や関与度によって異なるニーズを持っています。そのため、それぞれのステージに応じた適切なアプローチを行うことで、効率的にLTVを向上させることができるでしょう。
次の見出しでは、以下の顧客ステージごとのCRM施策についてしていきます。
- 新規顧客へのオンボーディング
- リピート顧客への育成施策
- 優良顧客のロイヤルティ強化
- 休眠顧客の掘り起こし対策
新規顧客へのオンボーディング
多くの商材は初回購入後の30日間が、リピーターになるかどうかの分かれ目です。この期間に商品の価値を十分に体験してもらい、ブランドへの好印象を形成することが重要となります。
ウェルカムメールでは、商品の使い方や保管方法、よくある質問への回答などを提供しましょう。また、次回購入時に使えるクーポンを配布することで、2回目の購入ハードルを下げられます。
リピート顧客への育成施策
2回目以降の購入がある顧客には、ブランドへの関心を深めてもらう施策が効果的です。
- ブランドストーリーや商品開発の裏側を紹介
- 他の顧客の活用事例を共有
- 新商品の開発過程を定期的に報告
- 限定商品の先行販売権を付与
こうした情報提供により、単なる購入者からファンへと育成していきます。
優良顧客のロイヤルティ強化
購入頻度が高く、客単価も高い優良顧客には、特別な体験を提供することでロイヤルティをさらに強化できます。
具体的には「VIP会員限定のイベント招待」や「商品開発への意見募集」などの施策があり、これらを通じて、ブランドとの一体感や特別感を感じてもらい、長期的な関係維持につなげましょう。
休眠顧客の掘り起こし対策
一定期間購入のない休眠顧客には、再度興味を持ってもらうきっかけ作りが必要です。「お久しぶりです」という内容のメッセージとともに、魅力的な特典や新商品情報を届けましょう。
ただし、すでにブランドから離れている可能性もあるため、配信頻度は控えめにすることが大切です。。
よくある質問
CRM施策やLTV改善に関して、多くの方が疑問に感じるポイントをまとめました。実践を始める前に、これらの疑問を解消しておきましょう。
小規模ECでも効果はある?
小規模ECでも、むしろ顧客数が限られているからこそ、一人ひとりとの関係構築が重要です。大手のように大規模なシステム投資は不要で、メール配信ツールやスプレッドシートでの顧客管理から始められます。顧客の顔が見える規模だからこそできる、きめ細やかな対応が競合優位性になります。
施策の優先順位はどう決める?
まずは投資対効果の高い施策から着手しましょう。一般的には以下の順序がおすすめですが、自社の課題や顧客の特性に応じて、優先順位を調整してください。
- 購入後のフォローメール設定
- 定期的なメールマガジン配信
- 顧客セグメント別の施策展開
- ポイントプログラムの導入
- 高度なパーソナライゼーション
まとめ:LTV改善はCRM施策で実現可能
LTV改善は、EC事業の持続的成長に不可欠な取り組みです。CRM施策を通じて購入頻度、客単価、継続期間の3要素を向上させることで、顧客生涯価値を最大化できます。
重要なのは、顧客との長期的な関係構築を目指し、一人ひとりに価値ある体験を提供し続けることです。まずは基本的な施策から始め、データを分析しながら継続的に改善していきましょう。
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