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ECサイトの売上が伸びない原因は?6つの改善策と成功事例
あなたのECサイトの売上が伸びない原因は「集客不足」?「転換率の低さ」?この記事を読めば、EC売上の方程式に沿って自社の課題を明確に診断できます。原因別の具体的な改善策と成功事例で、売上の壁を突破しましょう。
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経済産業省が2025年8月に発表した「令和6年度電子商取引に関する市場調査報告書」によると、2024年の日本のBtoC-EC市場規模は前年比で増加、また、過去10年間でも(2020年を除く)は毎年増加傾向にあるため、ネットショッピングは今後も主要な販路となっていくことが考えられます。
このように市場全体が成長しているにも関わらず、「自社のサイトだけ売上が伸び悩んでいる」「競合に差をつけられている気がする」と感じることが増えていないでしょうか。
この記事では、そのようなECサイトの売上の壁を乗り越えるための具体的な方法を、分かりやすく解説します。
目次
売上の「壁」を感じていませんか?
EC市場全体は好調でも、いざ自社の運営に目を向けると「なぜか売上が思うように伸びない」「これ以上どうすれば良いのか分からない」といった個別の「壁」に直面することがあります。
しかし、幅広い業務があるEC運営担当者は、課題はわかっていても沢山の業務に追われ、どこから手をつければ良いのか、悩んでいるということも多いのではないでしょうか。
ほとんどのEC運営者が直面する「売上が伸びない」悩み
この記事の冒頭に記載した通り、ECの市場は拡大していますが、これは同時に競合の増加も意味します。そのため、多くのEC運営者が一度は次のような共通の悩みを抱えているのが実情です。
・ 新規顧客が増えない
・ サイトへのアクセスはあるのに、商品が購入されない
・ 一度購入してくれた顧客が、リピートしてくれない
・ 広告費をかけても、費用対効果が合わない
これらの悩みは特別なものではありませんが、放置すれば事業の成長が止まってしまう可能性があるため、早期の対策が求められます。
まずは「ECの売上方程式」で自社の課題を分解する
売上が伸び悩む原因を突き止める第一歩として、ECサイトの売上がどのように成り立っているのかを理解することが重要です。ECの売上は、以下のシンプルな方程式で表すことができます。
売上 = アクセス数 × 転換率 × 客単価 |
この方程式の3つの要素をまとめたのが次の表です。
要素 | 説明 | 具体例 |
アクセス数 | サイトを訪れたユーザーの数 | 1,000人 |
転換率 (CVR) | サイトを訪れたユーザーのうち、商品を購入した人の割合 | 2% (20人) |
客単価 | 購入者1人あたりの平均購入金額 | 5,000円 |
上表の具体例に基づいて計算すると、次のようになります。
[ アクセス1,000人 ] × [ 転換率2% ] × [ 客単価5,000円 ] = [ 売上100,000円 ] |
売上が伸びない状態の場合は、この3つの要素のいずれか、あるいは複数に課題が隠れていることを示しています。
この状態からアクセス数が1,000人→2,000人の2倍にすることができれば、次のような計算になり、売上が2倍にすることができるでしょう。
[ アクセス 2,000人 ] × [ 転換率 2% ] × [ 客単価 5,000円 ] = [ 売上 200,000円 ] |
逆に、現状の数値からアクセス数が1,000→500人と半分になれば、次のような計算になり、売上は半減してしまいます。
[ アクセス 500人 ] × [ 転換率 2% ] × [ 客単価 5,000円 ] = [ 売上 50,000円 ] |
このように、売上の成り立ちを方程式で理解することで、改善案を考える際の原因探しやシミュレーションを立てることができるようになります。
ECサイトの売上が伸びない「根本原因」はこれかも?
ここからは、売上の方程式を基に、自社のサイトがどの部分に課題を抱えているのかを考えていきましょう。次の見出しでは、以下のよくある4つ原因について詳しく解説します。
【よくある売り上げが伸びない原因】 1.サイトへのアクセスが少ない 2.転換率が改善されてない 3.リピート購入に繋がらない 4.外的要因に大きな影響を受けている |
原因1|そもそもサイトへのアクセスが少ない(集客)

どれだけ魅力的な商品やサイトを用意しても、お客様が訪れてくれなければ売上は立ちません。
サイトへのアクセス数が少ない場合、人々があなたのサイトの存在に気づいていない、あるいはたどり着く方法が分からないという状態が考えられます。これは、売上方程式における「アクセス数」に問題があるケースです。
特にサイトデザインやUIにこだわりがある場合は、アクセス対策になかなか手が回らないことがあります。そのような時は、最初から完璧なサイトは目指さずに、ユーザーの動きを分析してからブラッシュアップすることを念頭に置くことも必要になるでしょう。
原因2|アクセスはあるのに購入されない(転換率)

アクセス数はある程度確保できているにもかかわらず、売上が伸び悩んでいる場合、サイトを訪れたユーザーが購入に至っていない可能性が高いです。
これは、売上方程式の「転換率」に課題があることを示します。サイトのデザインが分かりにくい、商品情報が不十分、購入プロセスが複雑などの問題が隠れているかもしれません。
原因3|アップセル・クロスセルやリピート購入に繋がっていない(客単価)

新規顧客の獲得には、既存顧客に再度購入してもらうよりも多くのコストがかかると言われています。
一度購入してくれた顧客が再訪してくれない、あるいは一度の購入金額が低い状態が続いている場合、売上を安定的に伸ばすことは難しくなります。
これは売上方程式の「客単価」や、長期的な顧客との関係構築に課題がある状態です。
原因4|市場や競合の変化を見逃している
ECを取り巻く環境は常に変化し、新しい競合サイトが登場したり、顧客のニーズが変わったり、新しいトレンドが生まれたりすることも多くあります。
各要素について対策をしているのに、なかなか売上が改善しないという場合は、自社のサイト内だけでなく、こうした外部環境の変化に対応できていないことも、売上が伸び悩む大きな原因の一つとなり得ます。
特にトレンドは、商品だけではなく、施策等も含まれるため、競合他社の商品だけではなく、実施している販促キャンペーン等にも注目すると良いでしょう。
【原因別】売上を伸ばすための具体的なECサイト改善策
ここからは、先ほど挙げた原因を解決し、売上を伸ばすための具体的な改善策を解説していきます。自社の課題に合わせて、取り組めそうなものから実践してみてください。
<改善策> 1.【集客】新規顧客を呼び込むSEOと広告戦略 2.【転換率】買いたくなる商品ページの作り込み 3.【転換率】カゴ落ちを防ぐサイト導線の見直し 4.【顧客単価】合わせ買いを促す工夫 5.【リピート】メルマガやSNSでの関係構築 6.【分析】データに基づいた継続的なサイト改善 |
改善策1|【集客】新規顧客を呼び込むSEOと広告戦略
サイトへのアクセス数を増やすためには、顧客が自社サイトを見つけやすくする必要があります。具体的な改善策は主に次の2つです。
- SEO(検索エンジン最適化)
ユーザーがGoogleなどで検索した際に、自社サイトが上位に表示されるようにする対策です。適切なキーワードを選んでページに含めたり、サイトの構造を分かりやすくしたりすることが求められます。 - Web広告
検索結果に表示されるリスティング広告や、SNS広告などを活用して、ターゲットとなる顧客層に直接アプローチする方法です。出稿する広告子次第では、少ない予算からでも始めることができます。
施策 | 特徴 | こんなサイトにおすすめ |
---|---|---|
SEO | 無料で始められるが、効果が出るまでに時間がかかる。長期的な資産になる。 | コストを抑えたい、継続的に集客したいサイト |
Web広告 | 即効性があり、特定のターゲットに届けやすい。継続的に費用がかかる。 | 短期間でアクセスを増やしたい、セール時などのサイト |
改善策2|【転換率】買いたくなる商品ページの作り込み
ユーザーが「この商品が欲しい!」と思えるような、魅力的な商品ページを作成することが購入率を高める鍵となります。魅力的なページを作成する際は次のような点を見直すと良いでしょう。
- 商品の魅力が伝わる写真
様々な角度から撮影した高画質な写真や、使用イメージが湧く写真を複数掲載する - 具体的で分かりやすい商品説明
サイズ、素材、使い方だけでなく、商品を使うことで得られるメリットやストーリーを伝える - お客様の声(レビュー)の掲載
実際に商品を使った人の感想は、他のユーザーにとって非常に信頼性の高い情報源となる
改善策3|【転換率】カゴ落ちを防ぐサイト導線の見直し
「カゴ落ち」とは、ユーザーが商品をカートに入れたにもかかわらず、購入手続きを完了せずにサイトを離れてしまうことです。これを防ぐことで、転換率は大きく改善することができるでしょう。
下表は、主なかご落ちの原因をまとめたものです。
カゴ落ちの主な原因 | 対策 |
---|---|
購入手続きが面倒 (入力項目が多い) | 住所入力の補助機能や、Amazon PayなどのID決済を導入する |
送料や手数料が想定より高かった | 事前に送料を分かりやすく明記する、合計金額を常に表示する |
希望する決済方法がなかった | クレジットカード、後払い、キャリア決済など複数の決済手段を用意する |
会員登録が必須だった | 会員登録なしでも購入できる「ゲスト購入」機能を設ける |
改善策4|【顧客単価】合わせ買いを促す工夫
顧客一人当たりの購入金額を上げることも、売上アップに直結します。そのための代表的な手法が「アップセル」と「クロスセル」です。
- アップセル
検討中の商品よりも高価な上位モデルを提案すること
(例:「こちらの高機能モデルもおすすめです」) - クロスセル
検討中の商品と関連性の高い商品を一緒に提案すること
(例:「このシャツに合うパンツはこちらです」)
これらの提案を、商品ページやカート画面で「この商品も一緒にいかがですか?」のように自然な形で表示することで、合わせ買いを促すことができます。また、「あと〇〇円で送料無料」といった表示も非常に効果的です。
改善策5|【リピート】メルマガやSNSでの関係構築
一度購入してくれたお客様と継続的に繋がり、ファンになってもらうことが安定した売上に繋がります。
- メールマガジン
新商品のお知らせやセール情報、商品の使い方など、顧客にとって有益な情報を定期的に配信します。誕生日クーポンなどを送るのも喜ばれます。 - SNS(Instagram, Xなど)
ブランドの世界観を伝えたり、ユーザーと直接コミュニケーションを取ったりするのに適しています。キャンペーン情報の発信やライブコマースなども有効です。
これらのツールを通じて顧客との接触回数を増やし、あなたのサイトを思い出してもらうきっかけを作りましょう。
改善策6|【分析】データに基づいた継続的なサイト改善
ECサイト運営において、感覚だけに頼るのは危険です。「Google Analytics」などの分析ツールを使い、データに基づいてサイトを改善していくことが重要となります。
- どのページが多く見られているか?
→ ページごとのアクセス数を確認する - ユーザーはどのページでサイトを離れているか?
→ ページごとの離脱数や離脱率を確認する - どの広告から来たユーザーが多く購入しているか?
→ 広告内に設置したURLにUTMパラメータなどを設置し集計する
これらのデータを定期的に確認し、「仮説 → 実行 → 検証 → 改善」のサイクル(PDCAサイクル)を回し続けることで、サイトは着実に成長していきます。
売上アップに成功したECサイトの具体例
ここでは、改善施策によって売上アップに成功したECサイトの具体的な運用例をご紹介します。
具体例1|商品画像を改修してアクセス数が改善した化粧品EC
化粧品メーカーは、楽天市場に商品を出品していましたが「転換率は悪くないものの、なかなか売上が改善しない」という課題を抱えていました。そこで、楽天市場で検索した際に表示される商品画像(以降「第一画像」)の改善に着手し、以下のような点に着目して何パターンかの画像を用意しました。
<制作時に着目した点>
・商品の使用シーンがイメージできる小物を配置
・競合に多い背景色以外の色を基調にする
・ユーザーにとってメリットとなる内容をテキスト要素として追加
さらに、検索時に第一画像と一緒に表示される商品名についても、複数パターン作り、クリック率の改善を行った結果、商品ページへのアクセスが増え売上が向上しました。
具体例2|CRM施策でリピート率向上に成功した健康食品EC
ある健康食品のECサイトでは、「新規顧客は獲得できるものの、リピート購入が少ない」ことが悩みでした。そこで、顧客との関係構築(CRM)施策を強化し、以下のようなメールを購入後の日数に応じて配信(ステップメール)することにしました。
・購入後はサンクスメール
・商品が届いた頃に「商品の正しい食べ方」を紹介
・商品がなくなる頃に「おすすめ商品」の提案
・しばらく購入のない場合は「特別な割引クーポン」を送付
配信タイミング | 内容 |
購入時 | サンクスメール |
商品発送から3日後 | 健康食品の「おすすめの摂取方法」を紹介 |
商品発送から1か月後 | 「他のお客様の声」「定期便」の提案 |
しばらく購入のない場合 | 「再開した人限定の割引クーポン」を送付 |
このような地道なコミュニケーションを続けた結果、顧客のリピート率がゆるやかに向上し、安定した売上基盤を築くことに成功しました。
ECサイトの売上に関するよくある質問
最後に「ECサイトの売上」に関して、よく寄せられる質問にお答えします。
・ECサイトの売上の平均はどのくらいですか?
・売上アップの原則があれば教えてください
・すぐに売上を伸ばす方法はありますか?
なお、この記事に紹介のないご質問やECサイト運営に関する不安は、ぜひプロのEC運用代行にご相談することをお勧めいたします。弊社では無料相談も行っておりますので、お気軽にご利用ください。
Q. ECサイトの売上の平均はどのくらいですか?
A. ECサイトの売上は、取り扱う商材、事業規模、運営歴などによって大きく異なるため、「平均はいくら」と一概に示すことは非常に困難です。
小規模サイトやニッチな商材では月数万円以下という場合もあり、逆に、数多くの商品を取り扱う大規模なサイトや市場の大きな商材であれば、月数千万円以上ということもあります。
そのため、まずは自社の商品や市場を考慮した売上目標を設定し、その達成に向けて「売上の方程式」の各要素をどれだけ伸ばせるかを考えることが重要です。
Q. 売上アップの原則があれば教えてください
A. 売上アップの原則は、「顧客視点に立つこと」に尽きます。
以下のような点について、考え抜くことが売上アップへの近道の1つです。
- 顧客はなぜあなたのサイトを訪れたのか?
- 顧客は商品を探しやすいか?
- 顧客は安心して買い物を楽しめるか?
- 顧客は「また来たい」と思ってくれるか?
常に顧客の立場に立ってサイトを見直し、改善を続けることが、売上を伸ばすための最も基本的で重要な原則といえるでしょう。
Q. すぐに売上を伸ばす方法はありますか?
A. 残念ながら、誰でも簡単にすぐに売上を伸ばせる「魔法のような方法」は存在しません。
しかし、比較的即効性が期待できる施策はあります。
- Web広告の出稿
費用はかかりますが、短期間でサイトへのアクセスを増やすことができます。 - タイムセールやクーポンの発行
限定感を演出し、購入を後押しする効果が期待できます。
ただし、これらの施策には「一時的な効果に留まることが多い」「運用次第では大きなマイナス要因となる」というリスクもあります。そのため、長期的な成長のためには、この記事で紹介したような地道なサイト改善や顧客との関係構築を並行して進めることが不可欠となります。
まとめ:正しい原因分析と改善で、売上の壁を乗り越えよう
ECサイトの売上が伸び悩んだとき、やみくもに対策を行うのではなく、まずは冷静に原因を分析することが大切です。
特に、今回ご紹介した「売上 = アクセス数 × 転換率 × 顧客単価」という方程式に立ち返り、自社のサイトはどこに一番の課題があるのかを突き止めましょう。
その上で、課題に合わせた適切な改善策を実行し、データを見ながら検証を繰り返していくことが、売上の壁を乗り越えるための最も確実な道筋です。
一つ一つの改善は小さくても、それらを積み重ねていくことで、ECサイトは着実に成長していきます。
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