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個人でも頼める?「小規模ECの運営代行」の料金相場と選び方

「小規模EC・個人だから運営代行は無理…」と諦めていませんか?実は小規模こそプロに任せるメリット多数。気になる料金相場から、個人でも頼める会社の選び方まで徹底解説。一人で抱え込まず、事業を成長させましょう。

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個人や小規模でネットショップ(ECサイト)を始めたものの、日々の業務に追われてしまい、本来やりたかった商品企画や売上アップの施策に時間を割けない、という悩みはありませんか。

ECサイトの運営は、商品の受注や発送だけでなく、サイトの更新、顧客対応、マーケティングなど、多岐にわたる業務が必要です。これらを一人で抱え込むと、時間的にも体力的にも限界を感じることが少なくありません。

この記事では、そんな小規模EC運営者の強力な味方となる「ECサイト運営代行」について、具体的なサービス内容から料金相場、そして失敗しない代行業者の選び方まで、分かりやすく解説していきます。

目次

小規模EC運営でよくある課題

ECサイトを手軽に始められるようになった今、多くの人がネットショップ運営に挑戦しています。しかし、その手軽さとは裏腹に、運営を継続し、成功させることは簡単ではありません。

まずは、小規模EC運営者が直面する現実を見ていきましょう。

一人では限界?EC運営者が抱える多くのタスク

ECサイトの運営には、想像以上に多くの業務が伴います。商品が売れる喜びも束の間、次から次へと発生するタスクに追われることになります。

具体的にどのような業務があるのか、以下の表にまとめました。

大分類具体的な業務内容
フロント業務・ECサイトの制作や更新
・商品の撮影、採寸、原稿作成
・商品登録
・メルマガ作成や配信
・顧客からの問い合わせ対応(メール、電話)
・SNSの運用
バックヤード業務・受注処理
・在庫管理
・商品のピッキング、梱包
・発送業務
・入金確認
・返品、交換対応
マーケティング業務・売上データ分析
・広告運用(リスティング広告、SNS広告など)
・SEO対策(検索エンジンで上位表示させるための施策)
・キャンペーンやセールの企画

これらの業務をすべて一人、あるいは少人数で完璧にこなすのは、非常に困難です。

小規模ECとは?どのくらいの規模感を指すのか

この記事で扱う「小規模EC」について、明確な定義はありませんが、一般的には個人事業主数名のスタッフで運営しているネットショップを指し、事業規模の目安は以下の通りです。

  • 運営体制
    個人事業主または従業員数名
  • 月商
    数十万円~数百万円程度
  • 発送件数
    1日に数件~数十件程度


この規模のECサイトは、大手企業のように潤沢な資金や人材を確保することが難しく、運営者が多くの業務を兼任しているケースがほとんどです。

ネットショップの成功率・廃業率のリアル


ネットショップの開業は簡単になりましたが、残念ながら、すべてのショップが成功するわけではありません。明確な公的データは少ないものの、一般的にネットショップを開業してから1年以内に閉店・休業する割合は高く、3年後まで継続できるのはごく一部だと言われています。

 【成功(継続)が難しい理由】
  ・競合ショップの増加による価格競争
  ・集客(マーケティング)の知識不足
  ・日々の運営業務に追われ、リソースが不足し改善策を打てない
  ・資金繰りの悪化

このような厳しい状況だからこそ、専門家の力を借りて効率的に運営していく視点が重要になります。

ECサイト運営代行とは?基本的なサービス内容を解説

ECサイト運営代行とは、その名の通り、ネットショップ運営に関わる様々な業務を代行してくれるサービスです。自社で対応が難しい業務や、手間がかかる作業を専門業者に委託することで、運営者はより重要な業務に集中できます。

運用代行の基本的なサービスは、次の見出しで詳しく見ていきましょう。

受注から発送まで!ECのバックヤード業務

バックヤード業務は、顧客の手元に商品が届くまでの重要なプロセスですが、非常に手間と時間がかかる業務の一つです。特に、個人運営や担当者が少ない場合は、リソース不足の一番の要因となります。

そのため、以下のような業務を運用代行に委託することで、バックヤードに関する業務の悩みから解放され、他の注力したいタスクに集中することができるでしょう。

 【主な運用代行内容】
  ・受注処理(注文内容の確認、注文確定メールの送信)
  ・在庫管理(在庫数のリアルタイム更新、棚卸し)
  ・梱包/発送(商品のピッキング、丁寧な梱包、配送業者への引き渡し)

サイト更新や顧客対応もお任せ

お客様が直接目にするサイトの管理や、問い合わせ・クレーム対応等も代行を依頼することができます。サイトも顧客対応も直接お客様と関わる業務となるため、各業務の専門家に任せることで顧客満足度の向上が期待できるでしょう。

 【主な運用代行内容】
  ・サイト更新、商品登録
   → 新商品の情報登録、商品画像の加工、特集ページの作成など
  ・メルマガ配信
   → セール情報や新商品のお知らせなど、顧客へのアプローチを代行
  ・顧客対応(CS)
   → メールや電話での問い合わせ対応、クレーム対応などを代行

特に顧客対応はショップの評価に直結します。迅速で丁寧な対応をプロに任せることで、リピーター獲得にもつながるでしょう。

売上アップを支援するマーケティング業務

ECサイトの売上を伸ばすためには、専門的なマーケティングの知識が不可欠です。多くの代行会社では、売上向上のためのコンサルティングや施策の実行も請け負っています。

専門的な知識が必要となる以下のような業務をプロに任せることで、効果的・効率的に売上を伸ばすことが可能です。

 【主な運用代行内容】
  ・広告運用
   → リスティング広告やSNS広告などを活用した新規顧客を獲得
  ・SEO対策
   → 検索エンジンで自社サイトを上位表示するためのサイト内部や外部の対策
  ・SNS運用
   → InstagramやX(旧Twitter)などを活用したファン育成や販売促進
  ・データ分析や改善提案
   → アクセス解析ツールなどを用いた課題分析、改善策の提案

小規模ECでも運営代行を活用すべき3つの理由

「代行を頼むのは、もっと規模が大きくなってから」と考える人もいるかもしれません。しかし、実はリソースが限られている小規模ECこそ、運営代行を活用するメリットが大きくなることがあります。

理由1|コア業務に集中して売上を最大化

ECには、運営者にしかできない「コア業務」があります。それは、商品の企画・開発や、ブランドの世界観を構築すること、事業全体の戦略を考えることなどです。

日々の発送作業や問い合わせ対応といったノンコア業務を代行業者に委託することで、運営者は最も重要なコア業務に時間とエネルギーを集中することができるでしょう。それに伴い、商品やサービスの魅力が高まり、事業の成長スピードを加速させることが期待できます。

理由2|プロのノウハウで運営品質が向上

運営代行会社は、数多くのECサイトを支援してきたプロ集団です。そのため、業務の効率性や品質が非常に高いという特長があります。

 【プロに任せるメリット
  ・発送業務
   丁寧でスピーディーな梱包・発送により、顧客満足度が向上
  ・顧客対応
   経験豊富なスタッフによる的確な対応で、ショップへの信頼感が高める
  ・マーケティング
   最新のノウハウに基づいた施策で、効果的に集客や売上アップを目指せる

自己流で試行錯誤するよりも、初めからプロの力を借りる方が、結果的に早く成果につながるケースは少なくありません。

理由3|人件費や固定費を抑えコスト削減に

「業務を外部に委託すると、費用が高くつくのでは?」と心配になるかもしれません。しかし、新たに従業員を一人雇用する場合と比較すると、コストを抑えられる可能性があります。

   項目    従業員を雇用する場合運営代行を利用する場合
人件費給与、賞与、社会保険料などが毎月固定で発生依頼する業務量に応じた変動費が中心
採用・教育コスト求人広告費や研修費用が必要不要
設備・備品PCやデスクなどの備品、倉庫スペースなどが必要不要
専門性採用した人材のスキルに依存様々な分野の専門家を活用可能

特に、売上に波がある小規模ECの場合、固定費である人件費を抱えるのはリスクです。必要な業務を必要な分だけ委託できる運営代行は、コスト効率の良い選択肢と言えるでしょう。

気になる料金は?ECサイト運営代行の費用相場

運営代行を利用する上で、最も気になるのが費用です。料金体系は代行会社や依頼する業務内容によって大きく異なるため、運営代行を検討している方は一度確認してみてください。

ECサイトの代行の相場はいくら?料金体系を解説

ECサイト運営代行の料金体系は、主に「月額固定費用型」と「成果報酬型」、そして両者を組み合わせた「複合型」の3つに分けられます。

【月額固定費用型】
 業務内容:毎月決まった金額を支払う依頼する業務内容や作業時間に応じて料金が設定
 相 場 :月額5万円~50万円程度(業務範囲による)

成果報酬型
 業務内容:売上や利益など、あらかじめ決めた成果に対して一定の料率を支払う方式
 相 場 :売上の5%~20%程度

【複合型】
 業務内容:月額固定費用に加えて、成果に応じた報酬を支払う方式
 相 場 :月額3万円~ + 売上の3%~10%程度

月額固定費用型と成果報酬型の違い

どちらの料金体系が良いかは、ショップの状況や代行を依頼したい目的によって異なります。それぞれのメリット・デメリットを理解して選びましょう。

料金体系  メリットデメリットおすすめのショップ
月額固定費用型・毎月の費用が一定で、予算管理がしやすい
・売上が増えても費用は変わらない
・売上が少なくても固定費がかかる・発送業務や顧客対応など、毎月一定量の作業を依頼したい
・売上が安定している
成果報酬型・初期費用を抑えられる
・売上がなければ費用が発生しない(または少ない)
・代行会社と売上目標を共有しやすい
・売上が急増すると、支払う費用も高額になる
・利益率が低い商材だと負担が大きい
・立ち上げたばかりで売上が不安定
・広告運用など、売上向上に直結する業務を依頼したい

【業務別】発送代行や出荷代行の料金相場

商品の保管から梱包、発送までを代行する「発送代行(物流代行)」は、業務別に料金が設定されていることが一般的です。おおまかな基本的な料金構成は以下の通りとなります。

 【基本的な料金構成】
  ・固定費
   - 基本料金(システム利用料など)  : 月額 0円~50,000円程度
   - 保管料(保管スペースの広さによる): 1坪あたり月額 4,000円~8,000円程度
  ・変動費(1件あたり)
   - ピッキング料    : 1点あたり 10円~50円程度
   - 梱包料(資材費含む): 1件あたり 100円~300円程度
   - 配送料       : 配送地域やサイズによる実費

これらの料金は、取り扱う商品のサイズや発送件数によって大きく変動します。

小ロットの発送代行は個人でも依頼できる?

依頼可能です。近年では、個人事業主や小規模EC向けに、1個からでも発送を代行してくれるサービスが増えています。
「Fulfillment by Amazon (FBA)」のような大手プラットフォームのサービスや、小ロット専門の発送代行業者など、選択肢は豊富です。月額の固定費が無料のサービスもあるため、まずは少ない物量から試してみるのも良いでしょう。

失敗しない!小規模EC向け代行業者の選び方

多くの代行会社の中から、自社に合ったパートナーを見つけるためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。この見出しでは、小規模EC事業者向けの運営代行業者の選び方について解説します。

ポイント1|小規模・個人事業主の実績は豊富か

代行会社には、大手企業を得意とするところもあれば、小規模事業者の支援に特化しているところもあります。そのため、小規模ECならではの悩みや課題を理解し、柔軟に対応してくれる会社を選ぶことが重要です。代行業者の選定時は、以下のチェックポイントを確認してみると良いでしょう。

 【チェックポイント】
  ・公式サイトに、自分と同じような規模の事業者の導入事例が掲載されているか
  ・個人事業主との契約が可能か
  ・小ロットの発送に対応しているか

ポイント2|業務委託したい範囲に対応しているか

まずは、自社が抱える課題を洗い出し、「どの業務をプロに任せたいのか」を明確にすることが大切です。その上で、依頼したい業務範囲をカバーしている代行会社を選びましょう。

依頼範囲の例
発送業務だけを切り出してお願いしたい
サイト更新と顧客対応をまとめて任せたい
売上アップのためのマーケティング戦略から実行まで、トータルで支援してほしい

代行会社によって得意な分野は異なるため、複数の会社を比較検討することをおすすめします。

ポイント3|料金体系は自社の規模に合っているか

前述の通り、料金体系は様々です。そのため、自社の売上規模や利益率、今後の事業計画などを考慮し、無理なく支払い続けられる料金体系の会社を選びましょう。

 【チェックポイント】
  ・初期費用はいくらか
  ・最低契約期間の縛りはあるか
  ・売上が変動した場合の費用シミュレーションはどうか

なお、見積もりを依頼する際は、「料金の内訳が明確になっているか」「追加料金が発生するケースはどのような場合か」などを詳しく確認することが不可欠です。

ポイント4|円滑な連携がとれる担当者か

運営代行は、自社の事業の一部を任せる重要なパートナーです。そのため、担当者との相性やコミュニケーションの取りやすさは非常に重要なポイントになります。

 【チェックポイント】
  ・レスポンスは迅速で丁寧か
  ・こちらの要望やビジネスへの理解度が高いか
  ・報告、連絡、相談の体制は整っているか
  ・改善のための提案を積極的にしてくれるか

これらのチェックポイントについては、契約前にしっかり打ち合わせを行い、信頼関係を築ける相手かどうかをしっかりと見極めましょう。

EC運営代行に関するよくある質問

最後に、以下のEC運営代行を検討する際によくある質問にお答えします。

 ・ネットショップは個人事業主になるのですか?
 ・ECサイトを自作する場合の費用は?
 ・契約前に準備しておくべきことはありますか?

Q. ネットショップは個人事業主になるのですか?

ネットショップで継続的に収入を得る場合、税務署に「開業届」を提出し、個人事業主となるのが一般的です。これにより、節税効果の高い青色申告が利用できるなどのメリットがあります。事業として運営していく意思があるなら、開業届を提出することをおすすめします。

Q. ECサイトを自作する場合の費用は?

ECサイトを自作する方法はいくつかあり、それぞれ費用が異なります。

構築方法初期費用月額費用特徴
無料ASPカート
(BASE, STORESなど)
0円0円~数千円 (別途、販売手数料など)・手軽に始められる
・デザインの自由度は低い
有料ASPカート
(Shopifyなど)
0円~10万円数千円~数万円・機能が豊富
・デザインのカスタマイズ性が高い
オープンソース
(EC-CUBEなど)
100万円~サーバー代など数万円~・非常に自由度が高い ・専門知識が必要
フルスクラッチ数百万円~サーバー代など数万円~・完全にオリジナルのサイトが作れる
・開発費用と時間がかかる

小規模ECの場合、まずは無料または有料のASPカートから始めるのが現実的です。

Q. 契約前に準備しておくべきことはありますか?

スムーズに話を進めるために、事前に以下の点を整理しておくと良いでしょう。これらを整理しておくことで、代行会社への相談や見積もりの依頼が具体的になり、より的確な提案を受けやすくなります。

【準備しておくべきことリスト】
 ・課題の明確化
  → 現在、運営の何に困っているのか
   (時間が足りない、専門知識がない、など)
 ・依頼したい業務範囲の決定
  → どの業務を、どこまで任せたいのか
 ・目標の設定
  → 代行を依頼して、何を達成したいのか
   (例: 月商〇〇円、自分の作業時間を週〇時間削減)
 ・予算の決定
  → 代行にかけられる費用の概算

まとめ:EC運営代行を味方につけて事業を成長させよう

ECサイトの運営は、一人や少人数で全てをこなすには業務が多岐にわたります。ノンコア業務に追われてしまうと、肝心な売上アップのための施策や商品開発に手が回らなくなり、事業の成長が止まってしまうことにもなりかねません。

ECサイト運営代行は、単なる外注先ではなく、事業を共に成長させていくパートナーです。発送業務や顧客対応、専門的なマーケティングなどをプロに任せることで、運営者はコア業務に集中でき、運営品質の向上やコスト削減も期待できます。

自社の課題や規模に合った運営代行会社を賢く選んで活用し、あなたのネットショップを次のステージへと成長させていきましょう。