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「CRMとは?」をわかりやすく解説!顧客との関係構築で売上UP
「CRMって結局なに?」EC運営者必見!今さら聞けないCRMの基本から、売上UPに繋がる活用法、失敗しないツールの選び方まで、専門用語を使わずに優しく解説します。
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数多くのECサイトが立ち並ぶ現代において、ただ商品を販売するだけでは安定した売上を維持することが難しくなっています。そこで重要になるのが、顧客一人ひとりとの関係性を深め、長く愛されるお店作りを目指す考え方です。
この記事では、その実現に不可欠な「CRM」について、基礎知識からECサイトでの具体的な活用方法、ツールの選び方までを分かりやすく解説します。
CRMを理解し活用することで、新規顧客の獲得に頼りすぎず、既存の顧客との絆を育みながら事業を成長させるヒントが見つかるでしょう。
目次
今さら聞けないCRMの基本|ECサイトで重要な理由とは?
CRMは、ECサイトの売上を安定させ、さらに伸ばしていくために欠かせない考え方であり、それを実現するための仕組みやシステムを指します。
まずは、CRMの基本的な意味と、なぜEC運営において重要視されているのかを見ていきましょう。
CRMとは何の略?読み方と基本的な目的

CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、「シーアールエム」と読みます。日本語では「顧客関係管理」や「顧客関係性マネジメント」と表現されます。
その名の通り、顧客との関係を管理し、良好なコミュニケーションを継続することで、顧客満足度を高め、長期的に自社のファンになってもらうことを目指すマーケティング手法です。
項目 | 内容 |
---|---|
正式名称 | Customer Relationship Management |
読み方 | シーアールエム |
日本語訳 | 顧客関係管理、顧客関係性マネジメント |
主な目的 | ・顧客情報の収集 ・一元管理 ・顧客との良好な関係構築 ・顧客満足度とロイヤルティの向上 ・長期的な売上・利益の最大化 |
単に顧客情報を管理するだけでなく、その情報を活用して個々の顧客に合わせた最適なアプローチを行うことが、CRMの核心となります。
なぜ今、EC運営にCRMが必要なのか?
インターネットの普及により、誰でも手軽にECサイトを開設できるようになった結果、市場は飽和状態に近付いています。このような状況で、多くのEC事業者が次のような課題に直面しているのではないでしょうか。
<ECサイトが直面する主な課題>
- 広告費用の高騰による新規顧客獲得コストの増加
- 価格競争の激化
- 顧客ニーズの多様化
こうした背景から、新規顧客を獲得し続けることの難易度は年々高まっているため、一度商品を購入してくれた「既存顧客」との関係を深めるCRMに注目が集まっています。
CRMがないEC運営 | CRMがあるEC運営 | |
---|---|---|
顧客情報 | 注文ごとに情報が点在し、顧客の全体像が見えない | 属性、購入履歴、問い合わせ履歴などが一元管理されている |
アプローチ | 全員に同じ内容のメルマガを一斉配信する | 購入履歴や興味に合わせ、パーソナライズされた情報を届ける |
顧客対応 | 過去のやり取りが分からず、毎回同じ説明を求める可能性がある | これまでの経緯を把握した上で、スムーズな対応ができる |
結果 | 一時的な売上はあっても、顧客が離脱しやすい | 顧客満足度が高まり、リピート購入や口コミにつながる |
特に、新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかる(1:5の法則)といわれています。そのため、コストを抑えながら効率的に売上を伸ばしていくために、CRMは現代のEC運営に必須の戦略といえるでしょう。

顧客との良好な関係がLTV(顧客生涯価値)を高める
CRMを実践する上で非常に重要な指標が「LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)」です。
LTVとは、一人の顧客が取引を開始してから終了するまでの全期間にわたって、自社のビジネスにどれだけの利益をもたらしてくれるかを示す指標を指します。
<LTV向上のイメージ>
- 初回の購入(サービスや商品との出会い)
- CRMによる適切な情報提供やサポートで満足度が向上
- リピート購入や、より高額な商品の購入(アップセル)、関連商品の購入(クロスセル)につながる
- 顧客が自社に愛着を持ち、ファン(ロイヤルカスタマー)になる
- 継続的な購入だけでなく、知人への紹介など、新たな顧客を呼び込む

CRMを通じて顧客満足度を高めることは、一回あたりの購入単価や購入頻度、継続利用期間を伸ばすことにつながり、結果としてLTVの最大化を実現します。LTVの高い顧客が増えるほど、ECサイトの収益は長期的かつ安定的に成長していくのです。
CRM活用の実践ガイド|機能・具体例・ツールの選び方
CRMの重要性を理解したところで、次にそれを実現するための「CRMツール(システム)」に焦点を当てましょう。ここでは、主な機能やECサイトでの具体的な活用例、そして自社に合ったツールの選び方を解説します。
CRMシステムの主な機能とECサイトでの活用例
多くのCRMツールには、顧客との関係を深めるための多彩な機能が搭載されています。
ECサイト運営において、それらの機能をどのように活用できるか次の表にまとめました。
主な機能 | 概要とECサイトでの活用例 | 活用例 |
---|---|---|
顧客情報の 一元管理 | 顧客の氏名や連絡先といった基本情報に加え、購入履歴、サイト内での行動履歴、問い合わせ履歴などを一つのデータベースに統合して管理します。 | 「特定の商品を3回以上購入している顧客」を抽出し、優良顧客向けの限定セールを案内する。 |
メール マーケティング | 顧客を条件(年齢、性別、購入商品など)で絞り込み、特定のグループに対してメールを配信する機能です。 | ・商品をカートに入れたまま購入していない顧客に、リマインドメールを自動で送信する(カゴ落ち対策)。 ・顧客の誕生月に、特別なクーポン付きのお祝いメールを送る。 |
分析・レポート | 蓄積されたデータを分析し、売上の傾向や顧客の行動パターンを可視化します。 | ・リピート率や離脱率を分析し、マーケティング施策の効果測定を行う。 ・LTVの高い顧客層の特徴を分析し、今後の商品開発やプロモーションの参考にする。 |
問い合わせ 管理 | 電話、メール、チャットなど、様々なチャネルからの問い合わせ内容と対応履歴を一元管理します。 | 過去の問い合わせ履歴を確認しながら対応することで、きめ細やかでスピーディーなサポートを実現し、顧客満足度を向上させる。 |
これらの機能を組み合わせることで、顧客一人ひとりに合わせた丁寧なコミュニケーションが可能になります。
自社に合うCRMツールの種類と選び方の3ステップ

CRMツールには様々な種類があり、自社の規模や目的に合ったものを選ぶことが成功の鍵です。以下の3ステップで、最適なツールを選定しましょう。
【STEP1】導入目的と課題を明確にする
まず、「なぜCRMを導入したいのか」「どのような課題を解決したいのか」を具体的にします。目的が曖昧なままツールを導入しても、うまく活用できない可能性が高いです。
<例>
「リピート購入率を現状の20%から30%に引き上げたい」
「顧客からの問い合わせ対応にかかる時間を半分にしたい」
「手作業で行っているメール配信を自動化して、企画業務に集中したい」
【STEP2】必須機能のリストアップ
ステップ1で明確にした目的を達成するために、どのような機能が必要かをリストアップします。多機能なツールは魅力的ですが、使わない機能が多いとコストが無駄になったり、操作が複雑になったりします。
<例>
・リピート率向上 → 購入履歴に基づいたセグメント配信機能、クーポン発行機能
・問い合わせ対応の効率化 → 問い合わせ内容の一元管理機能、FAQ連携機能
【STEP3】予算と運用体制を確認する
最後に、CRMツールにかけられる予算(初期費用・月額費用)と、社内で誰がどのように運用していくのかを決めます。
・予算の確認
→ ツールの料金体系を比較検討します。
・運用体制の確認
→ 専任の担当者を置くのか、複数のスタッフで分担するのか。
担当者が無理なく操作できるツールを選ぶことが重要です。
失敗しないための比較ポイント
複数のCRMツールを比較検討する際には、機能や価格以外にも以下のポイントを確認することで失敗を防ぐことができます。
比較ポイント | 確認すべき内容 |
---|---|
操作性 | 毎日使うツールだからこそ、ITに詳しくない担当者でも直感的に操作できるかどうかが重要です。無料トライアル期間などを利用して、実際に画面を触って確かめることをお勧めします。 |
サポート体制 | 導入時の設定サポートや、運用中に不明点が出た際の問い合わせ方法(電話、メール、チャットなど)が充実しているかを確認します。サポート体制が手厚いと、安心して運用を始められます。 |
外部システム連携 | 現在利用しているECカートシステム、MA(マーケティングオートメーション)ツール、会計ソフトなどと連携できるかを確認します。データ連携がスムーズだと、業務効率が格段に向上します。 |
セキュリティ | 顧客の大切な個人情報を預かるため、セキュリティ対策が万全であることは絶対条件です。通信の暗号化や不正アクセス防止策、プライバシーマークの取得有無などをチェックしましょう。 |
これらのポイントを総合的に評価し、自社のECサイトにとって最も費用対効果の高いツールを選びましょう。
CRM導入前によくある質問
ここでは、CRMの導入を検討する際に多くの方が抱く疑問についてお答えします。
Q. MAやSFAとの違いは?
CRM、MA、SFAは、いずれも企業のマーケティングや営業活動を支援するツールですが、それぞれ目的と対象とする領域が異なります。
主な目的 | 対象 | |
---|---|---|
CRM (顧客関係管理) | 既存顧客との関係維持・育成によるLTV向上 | 既存顧客 |
SFA (営業支援システム) | 営業活動の効率化と案件管理 | 営業担当者・商談中の見込み客 |
MA (マーケティングオートメーション) | 見込み客(リード)の獲得・育成 | 見込み客 |
つまり、Webサイトなどから集めた「見込み客」を育成するのがMA、商談が進んだ顧客を管理するのがSFA、そして一度顧客になった方と長く付き合っていくのがCRMの役割となります。
なおECサイトにおいては、特にCRMの重要性が高いと考えらていることが多いです。
Q. 導入費用はどのくらい?
CRMツールの導入費用は、提供形態や機能、利用するユーザー数によって大きく変動します。ツールの提供形態としては下表のようなものがあり、ECサイトで導入されるCRMの多くはクラウド型です。
クラウド型 | サーバーを自社で用意する必要がなく、インターネット経由で利用するタイプです。初期費用は無料~数万円、月額費用は数千円から利用できるものもあり、比較的導入しやすいのが特徴です。 |
オンプレミス型 | 自社サーバーにシステムを構築するタイプです。カスタマイズの自由度が高い反面、数百万円以上の高額な初期費用や、保守・管理のための専門人材が必要になります。 |
CRMツールの導入を検討している場合は、まずは複数のツールから資料を取り寄せたり、見積もりを依頼したりして、自社の予算に合うものを見つけることが大切です。
Q. 専門知識がなくても使えますか?
多くのツールは、プログラミングなどの専門知識がなくても、パソコンの基本操作ができる方なら直感的に使えるように次のような配慮がされている場合がほとんどです。
- 見たまま操作できる画面
メニューなどが分かりやすく配置されている。 - 詳しいマニュアルの用意
操作方法をいつでも確認できる。 - 充実したサポート体制
不明点を電話やメールで質問できる。
ただし、ツールを最大限に活用して売上を伸ばすためには、「操作できること」に加えて「データをどう活かすか」という視点も大切になります。
もし、データ分析やマーケティング施策を考えることに不安があれば、導入時の設定から運用まで手厚くサポートしてくれるサービスを選ぶと、より安心して成果を目指せます。
【まとめ】CRMで顧客との絆を深め、選ばれるECサイトへ
この記事では、CRMの基本的な考え方から、ECサイトにおける重要性、具体的な活用方法、ツールの選び方までを解説しました。
競争が激化するEC市場において、新規顧客の獲得だけに注力する戦略には限界があります。CRMを導入し、既存の顧客一人ひとりと真摯に向き合い、良好な関係を育んでいくことこそが、LTVを最大化し、長期間にわたって顧客から選ばれ続けるECサイトになるための鍵となるでしょう。
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